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Live Report




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Steve Smith (drums)
Tom Coster (keyboards and accordion)
Steve Browne (e.bass)
Vinny Valentino (e.guitar)

2007.11.13 Yoshi's, Oaland, CA 1st set

元ジャーニー、ステップス・アヘッドのドラマー、スティーブ・スミスの率いるヴァイタル・インフォメーションのライブがサンフランシスコ・ベイ・エリアのジャズ・クラブ、ヨシズで行われた。

1983年結成のヴァイタル・インフォメーションはスムース系の流行などにも流されることなく、ハードコアなフュージョン路線を守り続ける数少ないバンドだ。
現在のアメリカでどれだけの人気があるのだろうと思っていたが、西海岸を代表するジャズ・クラブ、ヨシズの前には開場前から数十人の列ができていて、300人程度のキャパの店は、平日の晩にも関わらず8割程度は埋まっていた。

バンドのメンバーはS.スミスとともににオリジナル・メンバーである元サンタナ・バンドのキーボード奏者トム・コスタは健在だが、ギタリストのフランク・ギャンバレは昨年脱退し、新しいギタリスト、ヴィニー・ヴァレンティノが今年加入し、ニュー・アルバム「Vitalization」をリリース、その後、ヨーロッパ、アメリカツアーを行っている。

ステージはT.コスタがアコーディオンを弾く、従来のヴァイタル・インフォメーションのイメージとはちょっと違った、アコースティック感の強い4ビート中心の曲から幕を開けた。
新ギタリスト、V.ヴァレンティノはヤマハのセミアコを持ち、前任のギャンバレよりもジャズ、ファンク色が強く、若い頃のリー・リトナーを連想させるようなスタイルで演奏をしていた。
この人やたら指が長くて左手人差し指、中指が第2関節までで1弦から6弦まで届いてしまっているのにはちょっと驚いた。

2曲目以降はステージ半ばでちょっと中休みと言ってアコーディオンでテーマが演奏されたサンタナ、T,コスタ共作の「Europe」がしっとりとした雰囲気だった以外は、一貫してヴァイタル・インフォメーションらしい変拍子も交えたハードなフュージョン路線で、パワフルかつテクニカルな演奏で楽しませてくれた。
途中15/16拍子の曲があったのだが、この曲で客席にリズムを説明してから手拍子を要求し、客席もそれに応えていたあたりは客層もなかなかコアな人たちだったようだ。

ちょっと変わったところでは南インドのリズムをベースにしたという「Interwoven Rhythms - Synchronous」でS.スミスとV.ヴァレンティノが演奏しながらインドネシアのケチャのような口パーカッションでの掛け合いを披露し、インド系の観客に受けていた。

ニューアルバムからの曲を中心に演奏されたこの日のステージで最後に演奏された「The Closer」はビリー・コブハムやジャン・リュック・ポンティーなどのオールド・フュージョンからモチーフを取ったいうへヴィーなジャズ・ロック系の曲。
いかにもヴァイタル・インフォメーションらしい曲調で、全員のソロで盛り上げてくれた。

ちなみにヨシズはサンフランシスコ・ベイ・エリアでは老舗のジャズ・クラブで、サンフランシスコ市街地からベイ・ブリッジを渡ったサンフランシスコ湾の対岸にあるオークランドに位置する。以前はオークランドの違う場所にあったのだが、1997年よりウォーターフロントのジャック・ロンドン・スクェアに移転している。
サンフランシスコ中心部からは地下鉄のBARTにのり12th Street Oaklandで降りるとそこから徒歩10分程度でたどり着くことが出来る。サンフランシスコのBARTは夜でも比較的安心して乗ることができるが、駅からウォーターフロントまでの間にはちょっとさびしいエリアもあるので、行ってみようという方は帰りはタクシーを利用した方が無難かも知れない。(もっとも流しのタクシーは非常に少ないので店で呼んでもらうしかないと思うが)

店は名前からも想像できるように日本食レストランと併設されていて、店を入って右側がレストラン、左側がライブ・ハウスのエリアに分かれている。
時間があったのでレストランで食事もしたのだが、アメリカ風にアレンジされた日本食ではあったが、味はそこそこ美味であった。
巻物の寿司が海苔の代わりに緑と黄色の紙のようなものに巻かれて出てきたので何かと聞くと大豆で作った紙だという。見た目も破ってみた感触も紙そのもので、一口かじった食感も紙のようなのだが、かんでいると口の中で溶けてくる一風変わった寿司だった。

余談になるが、今回は97年の移転後初めてこの店にいったのだが、驚いたのは店の前の道がそのまま線路になっていること。店の前は片側2車線程度の幅の道があって両側に歩道があり店が並んでいるのだが、道には線路があり、路面電車か昔の鉄道の跡だろうと思っていたら、なんとそこをそのまま10両編成の長距離列車アムトラックや30両編成の貨物列車が通過していくのである。
よく見ると交差している道路には踏切の遮断機がついているのだが、車道と線路が一緒になっていて歩道も踏切の内側になっているというのは初めて見た。
車道には一応車線が引いてあって線路が真ん中にあり車は両脇という区分けにはなっているようなのだが、知らずに運転するとそのまま線路上を走れてしまってそのうち正面から貨物列車がくるとパニックになってしまいそうだ。(車で行こうという人は注意してください。)

尚、ヨシズは11月28日にサンフランシスコ市街地に支店をオープンすることになっているので、こちらはずっとアクセスしやすくなるだろう。 (橋 雅人)




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