Tokyo Jazz 2006.9.3.夜の部
マーカス・ミラー & スペシャルゲスト フランク・マッコム
昨年に続いて登場のマーカス・ミラー。今年はゲストにヴォーカル、キーボードのフランク・マッコムをフィーチャーしている。 フランク・マッコムはブランフォード・マルサリスがやっていたHIP HOP系バンド、バックショット・ルフォンクに参加していた人だ。
マーカス・ミラーのバンドもメンバーがかなり入れ替わり、ハーモニカ奏者が入っていて、ギタリストがいないという編成だ。このハーモニカのグレゴリー・マレットという人はマイク・スターンの最新作「Who Let The Cat Out」にも参加していた。
1曲目はスティーヴィー・ワンダーのカバー曲「Higher Ground」から始まりマイルス・デイビス・バンド時代のレパートリー「Jean Pierre」と続く。
マーカスにマイク・スターンを擁していたマイルス・バンドの81年のライブ盤「We Want Miles」に収録されていた曲だから、25年も前の懐かしいレパートリーだ。
3曲目でゲストのフランク・マッコムが登場し、2曲を歌ってステージは一旦幕を閉じる。
マーカス・ファンとしてはちょっとあっけない終わり方だったが、アンコールはしっかり2曲用意されていて、アンコールの定番曲の「Come Together」でお開きとなった。
ゲストがはいった分、マーカス・ミラーのレギュラーバンドの出番がちょっと少なく、もうちょっとマーカスを聴きたかったと思わせるステージだった。 (橋 雅人)
1. Higher Ground
2. Jean Pierre
3. Cupid's Arrow
4. Shine
5. Everything Is Everything
Encore: Come Together
チック・コリア meets 上原ひろみ
 ピアノ・デュオって、思ったよりもデンジャラス。下手すると共演者の実力差がモロ出てしまうからです。
しかし、チック・コリアと上原ひろみとでは、そんなヤバイ局面にはならず、むしろ先生と生徒のようなほのぼのとしたピアノ・デュオになりました。
最初は全て即興での演奏・・・主導権はチックが握り、チックの出すテーマに対して上原がしっかりと応える形。
凄いと思ったのは、チックが音を出すフリをしてかわすフェイントに、上原は引っかからず、しっかりと追従できていたこと。上原の音楽演奏者としての能力が、非常に高いことをうかがわせます。
即興はサマータイムやモンクといった曲が表れては消えます。いまのところ上原はCD/ライブでもスタンダードを演奏することはないので、もしスタンダードを演奏したら・・・が聴けて興味深かいところ。
でも、どの曲もチックがするので、上原のスタンダード解釈を聞き取るまでにはいたりませんでした。
そういう意味では、チックはピアノ・デュオで自分のフィールドに持ち込むのが得意なんですね。
ある盤では、あのハンコックですらも、持ち込まれ気味でしたし・・・。
後半になるとチックのHumpty DumptyやWindowsといった有名曲が演奏されます。
さすがにチックのハッとするような美しいピアノ・フレーズが現れ、思わず息を呑んでしまいます。脱帽。
上原もよくあわせていて、そしてチックに触発されるようにピアノが美しくなっていく気がします。
最後にAll Bluesでしめくくった時には、もう終わり?と感じるほど、中身の濃い非常に面白いピアノ・デュオでした。(TKO)
1. Summertime
2. Bolivar Blues
3. Windows
4. Improvisation
5. Humpty Dumpty
6. All Blues
Hiromi and Chick
photo by Hideo Nakajima
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ by ハンク・ジョーンズ スペシャルゲスト 渡辺貞夫
前日に続いての御大ハンク・ジョーンズ率いる最新ヴァージョンのグレートジャズトリオ。
1曲目はハンク・ジョーンズだけのソロの演奏で「Alone Together」。この人のピアノはタッチがきれいで優しい。
2曲目からはパティトゥッチ、オマー・ハキムが加わりトリオの演奏。
そして4曲目のアップテンポで演奏された「Stella By Starlight」からこの日のスペシャル・ゲスト渡辺貞夫が加わった。
このメンバーでは続いて演奏された「I'm Old Fashioned」のようなバラード曲が絶品。
この曲は70年代の渡辺貞夫とグレートジャズトリオの共演盤の再演となるもので、ハンク・ジョーズの優雅なピアノ、ナベサダの暖かいサックスの音色はまさに円熟を感じさせるものだった。
パティトゥッチのウッド・ベースも彼の鋭いエレクトリックとは対照的に叙情的でよかった。(橋 雅人)
1. Alone Together
2. Au Private
3. Song For My Father
4. Stella By Starlight
5. Deep In A Dream
6. I'm Old Fashioned
7. Moose The Mooche
8. Parker's Mood
Special Session
このフェスティバルの最後を飾ったのはプログラムに予定されていなかったサプライズでのスペシャル・セッション。一旦、グレート・ジャズ・トリオの演奏を終えて舞台の袖に引っ込んだハンク・ジョーンズがチック・コリアを連れてでてきた。
そしてナベサダ、パティトゥッチ、オマー・ハキムをステージに呼び寄せるとともに自分の孫のような年のピアニスト、オースティン・ペラルタ、上原ひろみも引っ張り出す。
ステージにはピアノをもう1台もってきて4人のピアニストが2台のピアノを使いスタンダード・ナンバーで4人のピアニストが順にソロをとっていく。
最後は1台に2名づつが並んで連弾をしてエンディングを迎えるというジャズ・フェスティバルならではの楽しい演奏だった。 (橋 雅人)
1. Someday My Prince Will Come
2. Unknown Title


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PHOTO by アスワン
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