Michael Brecker Quindectet Live Report 

Wide Angles
Check CD  
2004.2.6(金)2nd set 2.7(土)1st & 2nd set
Osaka Blue Note

マイケル・ブレッカー MICHAEL BRECKER(Tenor Sax)
ギル・ゴールドステイン GIL GOLDSTEIN(E.Piano,Accordion)
アントニオ・サンチェス ANTONIO SANCHEZ(Drums)
アダム・ロジャース ADAM ROGERS(E.Guitar)
ボリス・コズロフ BORIS KOZLOV(A.Bass)
アレックス‘サーシャ’・シピアーギン ALEX"SASHA" SIPIAGIN(Trumpet)
ダニー・サドゥニック DANNY SADOWNIK(Percussions )
ジョイス・ハモン JOYCE HAMMON(Violin)
ロイス・マーティン LOIS MARTIN(Viola)
メグ・オークラ MEG O'KURA(Violin)
デヴィッド・エドガー DAVID EDGGER(Cello)
ピーター・ゴードン PETER GORDON(French Horn)
ボブ・シェパード BOB SHEPPARD(Flute,Sax)
ダン・ウィリス DAN WILLIS(English Horn, Oboe)
ロビン・ユーバンクス ROBIN EUBANKS(Trombone)
ロジャー・ローゼンバーグ ROGER ROSENBERG(Bass Clarinet)

マイケル・ブレッカーが15人編成のビッグ・バンドQuindectetを引連れて来日した。まだ来日公演の真っ最中だが、大阪の2日目、3日目と見てきたので、早速その様子をレポートしてみようと思う。

まず大阪ブルーノートの店内に入って気がついたのは、16人分ものセッティングだ。(アルバムではギル・ゴールドスタインは演奏には加わっていなかったが、今回は演奏もしているので1人増えている。)狭いステージに並べられた椅子の数だけで相当なもので、それだけで圧倒される。
Quindectetと言ってしまうとよくわからないが、フレンチ・ホーンやイングリッシュ・ホーンなどのクラシック系のホーン、ストリングス・カルテットなどが入り、まさにマイケル・ブレッカー・オーケストラと呼ぶのがふさわしいような編成だ。
当初は日本人メンバーを中心に編成するという話も伝わってきていたが、ふたをあけてみると「Wide Angles」のレコーティング・メンバーを中心に中堅どころの実力派ミュージシャンをずらりと並べた豪華ラインアップとなった。
パット・メセニー・トリオで先日来日したばかりのアントニオ・サンチェス、坂本龍一や矢野顕子らの共演でも知られ、末期のギル・エヴァンスの参謀役でもあったギル・ゴールドステイン、チック・コリアのオリジンやスティーリー・ダンのツアーにも参加していたボブ・シェパード、フレンチ・ホーンの第一人者ピーター・ゴードン、ユーバンクス・ファミリーのロビン・ユーバンクス、クリスクロスから渋い作品を出しているアダム・ロジャースやアレックス・シピアーギンなどなど話題の尽きない面子である。ちなみにヴァイオリンのメグ・オークラというのは日本人女性だった。

金曜の2ndは「Slings and Arrows」、「African Skies」とマイケルお馴染みのレパートリーをオーケストラアレンジしたもので始まった。この編成なので当然ニューアルバム「Wide Angles」からの曲ばかりが並ぶものと予想していただけにちょっと意表を突かれた。
アルバムではほとんどなかったマイケル以外のメンバーのソロもかなりフィーチャーされていて、中でもトランペットのシピアーギンの張りのある音色が印象的だった。
またフェンダーローズを弾きながら曲のポイントでは立ち上がって指揮をとるギル・ゴールドステインの姿はギル・エヴァンスを髣髴とさせるものがあった。
このステージは結局ニューアルバムからの曲は3曲目のたった1曲だけだったが、ハイライトはギル・ゴールドステインのアコーディオンソロに続いて、最後に演奏された88年の「Don't Try This At Home」に収録されていた「Itsbynne Reel」だった。原曲もヴァイオリンがフィーチャーされていたが、それがオーケストラアレンジなって新しい息が吹き込まれていた。ちょっとエスニック系、ワールドミュージック系の曲だが、公演後マイケルに聞いたところによると、次のアルバムはブルガリアの民族音楽の影響を受けたものになるとのことで、この曲あたりがそのヒントになるのかもしれない。

金曜のステージはアンコールもなく、バンドもまだリハーサル不足のためかまだまとまりきっていない印象を受けたが土曜日のステージはよりタイトな演奏になっていた。
最近のマイケルの定番レパートリー「Arc of the Pendulum」はイントロ部分は従来と同様にマイケルのソロから入り、それにオーケストラがかぶってくる。
2曲目はニューアルバムから「Broadband」。古い曲の方がマイケルのソロが多くフィーチャーされるが、新しい曲はこの15人編成のために書き下ろされただけあってバンド全体がよりまとまって聞こえる。

1stセットのアンコールで演奏された「Angle of Repose」は3セットを通じて唯一のバラードで、ストリングとの絡みが美しく、このバンドならではの演奏だった。

2ndセットの1曲目、2曲目は前日と同じ曲だったが、アンサンブルがよりタイトになっていてマイケルのソロもそれに呼応するようにより盛り上がっていた。前日は少しこけていた「African Skies」の複雑なエンディングもこの日はビシッとカッコよく決まっていた。

そしてこの日のハイライトとなったのは「Delta City Blues」。このステージは最前列の席に座っていたのでメンバーに配布されていたセットリストが見えていたのだが、本来の予定では4曲目は「Evening Faces」。ところが2曲目が終わった時点でマイケルが曲順を忘れてしまったのか「どこまでやったんだっけ?」とメンバーに聞いたところ何人かのメンバーが「Delta」、「Delta」と言った為、そのまま「Delta City Blues」のイントロを吹き始めてしまった。イントロ部分は従来通りのマイケルの無伴奏ソロが続くパターン。いつ聞いてもこの曲でのマイケルの演奏は強烈だ。マイケルが超高速フレーズを繰り出したときに、後ろで聞いていた同じサックス奏者のボブ・シェパードが口をあんぐり開けて目を見開いて驚いた顔をしていたのが、印象的だった。
ブルージーな曲だけに分厚いホーンセクションもばっちりはまっていて迫力満点のヴァージョンになっていた。

あえて難を言うとメンバーの数が多いだけにマイケルのソロがいつもより少なめに感じたが、これだけのメンバーが一同に会してのライブを狭い会場で見られるのは貴重な機会でそれをマイケル自身も楽しんでいるように感じられるライブだった。 (橋 雅人)

Set List
2/6(Fri) 2nd set
1. Slings and Arrows
2. African Skies
3. Night jessamine(?)
4. Itsbynne Reel

2/7(Sat) 1st set
1. Arc of the Pendulum
2. Broadband
3. Strings Quartet Performance - Timbuktu
4. Itsbynne Reel
Encore. Angle of Repose

2/7(Sat) 2nd set
1. Slings and Arrows
2. African Skies
3. Strings Quartet Performance - Scylla
4. Delta City Blues(Intro Brecker Solo)
Encore. Brexterity

*このセットリストは記憶を頼りに作って確認を取っていませんので若干の間違いがあるかもしれません。


マイケルブレッカー過去のライブレポート
2003/10/6, California
2003/8/23 Brecker Brothers at Mount Fuji Jazz Festival
2003/2/19 Directions in Music, Osaka
2002/10/6 Fujitsu Concord Jazz Festival, Osaka
2002/8/24-25 Tokyo Jazz 2002
2001/12/15, Tokyo
2000/7/20 at Montreux
2000/2/26, Osaka
1998/9/23, Osaka
1996/10/5, California

All rights reserved by Cyber Fusion - jazzfusion.com 2004