東京JAZZ 2003 Live Report
HERBIE HANCOCK TRIO
Herbie Hancock (piano)
Jack DeJohnette (drums)
Christian Mcbride (a.bass)

ハービー・ハンコック・トリオは今回の東京Jazzの目玉である。
このような大会場ではピアノトリオがメインでは、ちょっとインパクトが弱いのではないかという気がしたが、さすがにハービーであり貫禄あるステージだったと思う。
ただ、選曲は渋く、コール・ポーターの"I Love You"やスティービー・ワンダーの"You Got It Bad Girl"など演奏したが、なにか盛り上がりに欠ける、クライマックス・レスなステージであった。
なので最後の曲になっても終わる感じがしない、あれ?もう終わりかと感じた。

期待としてはジャック・デジョネットとの共演。それもピアノトリオである。
すると、どうしてもキース・ジャレット・トリオと比較したくなるというもの。
これも予想はしてたが、キースの時とはまた違った印象があり、ドラムセットも微妙に違ったようである。
感覚的にその違いとは、キースの時とは内省的な深いドラミングで、ハンコックとはもっと外に外にと向かって行くようなドラムの気がする。
でも、さすがに百戦錬磨のデジョネットであり、どのようにでも叩け、どんな相手でも自分を表現できる・・凄いドラマーだと改めて思った。

また、ベースのクリスチャン・マクブライドも既に大御所の貫禄がある。
レイ・ブラウン無き今、かかる期待の大きいベーシストだが、それによく答えていたと思う。

ハンコックのピアノもなかなか存在感のある演奏を聞かせてくれた。
それだけに個人的にはハンコックのJazz演奏はそうそう見れないので、もっとハンコック・オリジナルを聴きたかった。
しかし、その不満分は次のチャカ・カーンのステージで解消されることになる。

Set List
1. I Love You
2. Cotton Tails
3. Toys
4. Memories Of Enchantment
5. You've Got It Bad Girl
Herbie Hancock Christian Mcbride Jack DeJohnette

番外編 : Herbie Hancock Trio@大阪ブルーノート August 29th

東京ジャズの後、同じメンバーでハービー・ハンコックのトリオが大阪ブルーノートに出演するというので、その最終ステージを見にいってきた。たった5日前に東京ジャズで見たばかりなのだが、これだけの充実したメンバーのトリオをブルーノートのような小さなハコで見れる機会はそんなにはないので見にいくことにした。
アコースティック・ジャズはPAを通さない楽器の生音で聞くと、大きな会場では見えない別の表情が見えてくることがよくある。この日は一緒に見に行ったつれがよい番号の整理券を確保してくれたので、最前列中央のテーブルに座ることができ、ステージ向かって左手に置かれたスタインウェイ、中央のマクブライド、右手前にせり出したドラムセットと自分の席を結んだ線がひし形を描くような理想的な位置で聞くことができた。

そしてこの日の2セット目に、大阪ブルーノートで演奏したトリオは東京ジャズで演奏したバンドとは全く別のユニットと言ってもいいようなものに変身していた。
1曲目の立ちあがりからハービーのピアノ・ソロにディジョネットが恐ろしいテンションの高さで仕掛けていったのが、始まりだった。それに呼応するようにハービーがソロのテンションを高めていく。ドラムスとピアノの応酬がどんどんと形を変えて展開していく。フレーズの中にいろいろなアイデアが湧き出てくるディジェネットのプレイは素晴らしいの一言に尽きる。1曲目が終わりハービーがふーっと溜息をつき、腕時計を眺めるともう30分が経っていた。

2曲目もディジョネットのテンションは全く落ちず、ハービーも負けじと付いていく。 マクブライドも時折、ハービーやディジョネットに呼応してさすがと思わせるセンスのいいフレーズを繰り出すのだが、こうなってしまうとあとの2人とは役者の格の違いがはっきりしてしまう。

3曲目はバラード、4曲目はフリー系の曲とちょっと趣向を変え、少しクール・ダウンした雰囲気になるが、そんな中でもディジェネットは絶好調に感じられる。

そして最後は東京ジャズでも演奏された「You've Got It Bad Girl」。長くなりすぎた演奏時間を気にしたのかハンコックが小声で「短めに」と指示を出して始めたものの、イントロ部にドラムソロがフィーチャーされるこの曲でも最初からディジェネットはハンコックの指示が聞こえなかったような長尺のハイ・テンションなソロを展開する。ハービーのピアノソロでもディジェネットはあおりまくり、ハービーが応えざるを得ないような展開に追い込んでいった。

開演が遅れた上に1時半近く演奏をしていたため、終わったのは11時半近くでアンコールはなかったが、120%満足できるステージだった。満足どころか、20年間ジャズを聞き続けていて、かなりの数のライブも見ているつもりだが、これだけの凄まじい演奏は覚えがないくらいのレベルだった。このステージと較べると東京ジャズでの彼らの演奏は軽く流したリハーサルのように感じられ、この日は何かとんでもないものを見てしまったというのが正直な感想だ。

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REPORT:TKO 番外編:橋 雅人 PHOTO:アスワン
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