せっきょうナイト! Live Report 


六本木ピットイン 2001.01.13

MATARO(Perc)
則竹裕之(ds)
須藤満(b)
島健(pf)
中村哲(Sax)
松原正樹(g)

 

「せっきょうナイト」・・・とは、パーカッショニストの「MATARO」(またろう)さんが中心になって行われているセッションです。「セッキョウ」というのは、開演前に配られた用紙にお客さんが人生や音楽に関する質問を書いて、それらに対してライヴのMC「説教コーナー」で、ミュージシャンから直々にアドヴァイスがもらえるという企画を指しています。
 ステージを見ると、MATAROさんのパーカッションのセットに則竹さんのドラムセット、島健さんのグランドピアノがドドーンと鎮座しております。
 最初にMATAROさんが登場して、いきなりパーカッションのソロ。そこへ則竹さんが登場して、パーカッションと一緒にドラムソロ。そこに須藤さんが登場して、ベースソロ。そんなわけで、普通はライヴ中盤〜終盤にかけて聞くようなリズム楽器のソロが、いきなりライヴの最初に繰り広げられるのが、このライヴの何よりの特徴です。いや〜、最初からテンションが、あがるあがる(笑)。例えばドラムとパーカッションでは「刻み役」と「その上でいろいろ好きなことをする役」が交代している様子が非常にわかりやすい!
 ドラムひとり、パーカッションひとりではできないようなプレイが随所に見られます。ベースが加わってもその面白さは同じ。ベースソロの最後には須藤・則竹コンビがT-スクェア「ウェーヴ」の「ドゥーヴァ・ウーヴァ!!」をビシっと決めてくれて「うわっ、懐かしい!!」と感心したり・・・、見どころ聴きどころが次々に出てきます。

 さて、次に島健さんが登場。ピアノトリオ+パーカッションの編成で「テル・ミー・ア・ベッドタイム・ストーリー」。ドラムとパーカッションという音の大きな楽器に囲まれながらも、生ピアノの音がときに力強く、ときに繊細に、ダイナミックレンジ豊かに響いていたのは素晴らしかった! まるで心の弦をふるわせるような音色です。
 さらにサックスの中村哲さん、そしてギター松原正樹さんが加わって演奏が続きます。 この編成での「サラズ・タッチ」は、ステップスの「スモーキン・イン・ザ・ピット」が大好きな私としては、かなりうれしかった! また「セント・ホヘミアンズ・ダンス」では、MATAROさんがタブラを抱えてステージ前方に座って演奏。インドというか、エスニックな雰囲気に空気が一変します。
 この日はラテンからジャズまでいろんな曲が演奏されましたが、1曲の中でラテンになったりジャズになったりする瞬間があちこちにありました。そのたびに、プレイヤー全員がパッとスタイルを変えるが実に鮮やかでした。たとえばMATAROさん、ラテンのときはコンガを叩いていたのに、ジャズになったとたんサッとシンバルに切り替えたり。島健さんも、リリカルな世界でしっとり・・・と思ったらいきなりモントゥーノばりばりのラテン、鍵盤をガンガン鳴らしてロックなノリ、そして右手が怒濤のようにジャズのアドリブになったり。全員がそんな感じなので、まるで映画の場面が変わっていくかのよう。しかもそれが、アドリブで行われているというのが最高にスリリング。ジャズだな、という中でもしっとりした4ビートから、明るいニューオーリンズスタイル、ラテンでもサンバもあれば7拍子もあるといった具合で、とにかくバラエティ豊か。全体を通したらジャズとかフュージョンってことなのかもしれないけど、いろんな音楽のフレーズ、音色、リズムが登場しては移り変わるので、ぜんぜん飽きるヒマがありません。

 MCの「せっきょう」ですが、リズム感について、練習についてといった音楽に対する質問にミュージシャンのみなさんが答えていきます。さらに、男女をめぐるきわどい質問をMATAROさんが次々に読み上げるのですが、さらりと「メトロノームを使ったらいいんじゃないですか」とまとめる島健さんは、さすが・・・。詳しい「せっきょう」内容はライヴに来てのお楽しみですが、MCもここまで来ると、ほんとに曲と同じぐらい存在感があるなあ、と実感す。

 パーカッション、ドラム、ベース、ピアノと、どっちかというと裏方な楽器のミュージシャンが、最初にまずソロで思いっきりプレイ。それからギターとサックスが加わるという構成は割合に珍しいものですが、プレイヤーのほうも最初からいきなりテンションがあがってくるので、なかなかいいものです。
 パーカッショニストのプロデュースするライヴというとマニアックそうに思えるかもしれませんが、実際に体験すると全然そんなことない。それってもしかして、パーカッショニストとしてのMATAROさんの個性なのかも。ステージ上も客席も、和気あいあいといった雰囲気で盛り上がった一夜となりました。(美芽)

セットリスト

1部


1.MATARO SOLO
2.MATARO+則竹 DUO
3.MATARO+則竹+須藤TRIO
4.DOOBA WOOBA
5.TELL ME A BEDTIME STORY
-MC-(セッキョウコーナー)
6.C7
7.PUSH DANCE

2部

1.SARA'S TOUCH
2.WELL YOU NEEDN'T
3.ST.BOHEMIAN'S DANCE
-MC-(セッキョウコーナー)
4.MEMORIES OF TOMMORROW
5.ROUND MIDNIGHT

EC
1.TOMBO 7/8


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