Part 2
Nguyen Le Live Report


1. Trio
Nguyen Le Trio at Miles Davis Hall, Montreux on 7/16/2000

Nguyen Le (guitar)
Renaud Garcia-Fons (bass)
Tino Di Geraldo (drums)
Huang Thanh (vocal)

Set List
1. MADAL
2. ENCANTO
3. DDING DEK
4. BAKIDA
5. THE BLACK HORSE
6. NOCHE Y LUZ

Nguyen Leの所属するレーベルAct Musicのアーティスト3組が出演するAct World Jazz Nightと銘打たれたライブの中の一組としてNguyen Leが演奏した。
Miles Davis Hallはモントルー・ジャズ・フェスティバルの会場の中でメインのライブが行われる2つの会場のうちの小さい方で、テレビで見るとそこそこの大きさのホールだと思っていたが、実際にいってみるとホールというよりもスタジオのようなところで、床に椅子を並べただけでキャパが数百人程度のところだった。モントルーの有料ライブはここと、隣接するもうひとつの一番大きなAuditorium Stravinskiで会期中16日間、毎晩行われている。その他、数ヶ所でフリーコンサートが昼間から深夜まで行われている。
Act World Jazz Nightは、他にドイツのピアニストJens ThomasのトランペッターPaulo Fresuとアコーディオン奏者Antonello Salisをフィーチャーした前衛的なサウンドのトリオ、アフリカはマリのKoraというハープ(というか琴)のような音のする楽器の奏者Sorida Kouyateのバンドが出演していた。
フランスで活躍するギタリスト、Nguyen Leのトリオはその中の2番目に登場した。演奏は最新作の「Bakida」からの曲が中心だったが、ちょっと意外だったのは、かなりエフェクターを多用していたことだった。カスタム・メイド(?)のソリッドギターにローランドのギターシンセのピックアップを付け、Wave Stationをつなぎ、ボスのエフェクターボードをつないでローランドのジャズコーラスをステレオで鳴らしていて、そのセッティングで曲によってSFの効果音っぽいサウンドをだしたり、ベーシストがソロを取るときにベース音を出したりと変幻自在なプレイをしていた。
ウッド・ベースのRenaud Garcia-Fonsが弓弾きで、胡弓のような音色でメロディー・ラインを演奏しているのが、印象的だった。
トリオで4曲ほど演奏した後に共演盤も出しているベトナム人女性ヴォーカリストのHuang Thanhが真っ赤な民族衣装で登場。ここからの2曲はもろアジアといった雰囲気のヴォーカルを全面に出したワールドミュージック系となり、ステージの幕を閉じた。 アンコールはトリオに戻っての演奏だったが、全体の印象としては、トリオでの演奏は最新作の「Bakida」がそのまま再現されていた。「Bakida」でトリオで再現するのが難しそうだと思われる曲でもギターシンセを使用することで、ライブで聞くと違和感なく聞くことができた。
ちなみにNguyen Leの名前は「ニューエン・レ」と発音していた。

2.Solo
Nguyen Le Solo at Petit Palais du Montreux Palace on 7/17/2000


ライブの翌日、会場に隣接したホテルの小ホールで行われたワークショップにソロで出演した。このワークショップは無料セミナーのようなもので、ちょっとした演奏や参加者からの質問に答えたりといったことが行われる。前週にはB.B.KingやMechell Ndegeocello、今週後半にはPat Metheny, Michael Breckerも登場するという、フェスティバルの中でも無料だと侮ってはいけない、見落とせないイベントになっている。
Nguyen Leはセッティングはステレオ・アンプなど前夜と同じものだが、服装はカジュアルないでたちで登場し、ワークショップの始めと終わりに2曲をソロギターで披露してくれた。
2曲の間は参加者との質疑応答という形で進められたのだが、残念ながらフランス語で進行されてしまったため、詳しい内容はほとんどわからなかった。
わかった部分では、ニューエン独特のオリエンタルな雰囲気を出す、トレモロアームの使いかた、ビブラートのかけ方を説明していた。また好きなギタリストとしてジョン・スコフィールド、ジミ・ヘンドリックス、スティーブ・ヴァイの名前を挙げていた。 また、ワークショップの後、立ち話をする機会があったのだが、彼はフランス政府からサポート受けていて、ツアーなどは援助金がでればいけるとのことで、日本は一度フランスフェアーのようなものの企画で話しがあったが実現せず、一度も行ったことがないとのことだった。

尚、ここに掲載している写真はいずれもワークショップのときのものです。(橋 雅人)




Part 1はこちら
「Bakida」のCD評はこちら

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