Pat Metheny Group「Imaginary Day」Warner Bro.(9362-46773-2)`97 - U.S.A.
Pat Metheny(g), Lyle Mays(key), Steve Rodby(b), Paul Wertico(drs), Mark.Ledford(vo,flugelhorn,tp), David.Blamire(vo,flugelhorn,tp,g,mellophone), Mino Cinelu(per), David Samuels(shaker,cymbal rolls), Glen Velez(per), Don Alias(per)

    ○骨太いストレート系 ○明るく爽やか系 ○骨太系と爽やか系の中間
  ○R&B              ○ブラック系    ○歌物・NAC/AOR 系
  ○ラテン系(□ブラジル系 □サルサ系    □カリプソ系)
   ○ユーロ系        ○JAZZ系     ○JAZZとFUSIONの中間系
  ○ブルース系     ○ロック系      ●Metheny 系
長くなりそうなので結論から言います. 脳味噌錯乱級!!です. 買いッ!!Fusion系のMetheny の前作「We Live Here」はいかにも「お手軽に作った」というのが見え見えで「新しいアイディア」や「創意工夫」の無い「どうしようも無い駄作」としか言えない作品でした. 78年の「San Lorenzo(曲名) 」から始まったPMG の長いスパンでの彼らの活動を自分の耳で聴いてきた過程は「新しいアイディア」〜「熟成」〜「新しいアイディア」という サイクルがこのグループの特徴というのは周知の事実です. Toniho Hortaのサウンドを真似て、自分のオリジナルを足した「Letter From Home」というのは「熟成」の時期であり「We Live Here」に「新しいアイディア」を期待しましたが「Letter From Home」の収録されなかった曲の様な残骸の作品とループドラムを安易に使用したR&B 系の曲等で、この作品はレコード会社の契約上の為に安易に作られたとしか思えない作品でした. 次の作品は本腰を入れてくると思ったのが本作です. (この場合、Free Jazz の作品は度外視します) 下手な紹介するより一曲一曲を紹介します.(曲名は省略)

1曲目--シタール風のギターに邦楽風の笛 (シンセ) が混じり合った白人から見たオリエンタル風のイントロ、中華風のメロの要素もあります. シンセで作った琴や邦楽の笛の後にギターとオリエンタル風のアンサンブル. 4ビートのリズムでは邦楽の笛のイメージのシンセのソロ.それに続くギターは、ちょっと歪んだギターはロック風ですがフレージングはMetheny そのものです. 最後はオリエンタル風+GENESIS 風のアンサンブルで終わります.
2曲目--70年代フォークロック風のイントロからハーモニクスのギター. 雰囲気は70年代のフォークロック風のメロディを感じますが、L.Maysのキーボドとバックコースが入ると「Secret Story」風の路線. その後のギターはシンセギター.
3曲目--42弦のアコースティック系のギター(ハープの様な音です)は無国籍のメロディ..これだけで終わります
4曲目--ループを使わないR&B,又はブルージな感じのギターにトランペットのソロ. これは「We Live Here」の雰囲気はあります.
5曲目--スパニッシュ風の手拍子と中近東風のメロディのギターそして壮大な感じのサビはMetheny のグループらしいアンサンブルです (スラブ系の感じ) ピアノソロにはワールドミュージックの香りはなく、前半のワールド系とのアンバランスが面白いです. それに続くシンセギターはいつものソロです.
6曲目--ギターの小曲風の前半に続く後半は「Secret Story」の残骸の様なサウンド7曲目--テクノ風のシンセのイントロに歪んだギターが被さります.8ビートのロック風の曲ですが、彼らの今までのスタイルに無いサウンドですねぇ.シンセの音だけ聴いていると「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ曲を連想します.激しいサウンドが突然静かになりエレピとシンセの静かな雰囲気はモロGENESIS 風のサウンドです (^^;)
8曲目--ギターの小曲風のサウンドはECM的な料理方法です.
9曲目--生ギターのカッテングで始まり、それに被さるシンセはスコットランドのバグパイプからL.Maysの牧歌風のシンセに変わる明るいサウンド. その後の曲の展開はプログレッシブロック風のイメージあり. 牧羊的イメージの広大な大地を連想させるサウンドは「San Lorenzo 」の精神を受け継いでいる様です.

と、僕の感じるまま、そして僕の持っている表現力で紹介しましたがサウンドの半分 も言い切れていないですねぇ....感想としては、今までにない新しい路線を模索している作品. 又このグループが別の路線を模索し始めたサイクルに突入したサウンドと言えます. 「Still Life」の頃からメセニー自信のサウンドでなくT.Horta の路線を真似ているなぁと思い、イマイチ評価していなかったんですが、今回はそのサウンドも消え自分自信で世界中のいろんなサウンドをとりいれてそこから自分のサウンドを作ろうという姿勢が見られ好感が持てます. 新しいサウンドの中に日本の邦楽を取り入れて、このコンセプトは佐藤允彦氏の路線と相通じる面が感じられます.(ちょっとですが) いずれにせよ、「新しいアイディア」と「創意工夫」のある作品として久々の彼の意欲作だと思います. 路線んが違うので戸惑う人もいるかもしれませんが「San Lorenzo 」からの彼らの歩みからすると、当たり前の「変革」であり「挑戦」である事はよく理解出来る事です. やっとMetheny が新しいことをやってくれた..待ちに待った作品をようやく出してくれた事に拍手喝采です. 「挑戦」からやがて「熟成」を迎える次作が非常に楽しみになってきます.
 ☆ 脳味噌錯乱級!! 買いっ!!(アスワン)


   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out of melody/code
Conservative                     Progresseve/Tricky
Ensemble                     Interplay