Miles Davis「The Complete Miles Davis At Montreux 1973-1991」Waner Music Manufactureing Europe(0927-41836-2)2002 - Germany    

  Miles Davis(tp,key),other

  ●骨太いストレート系  ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか 系の中間 
  ○R&B         & nbsp;       ○ブラック系        ○歌物・NAC/AOR 系 
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系         □カリプソ系) 
  ○ユーロ系         & nbsp;  ●JAZZ系          ○JAZZと FUSIONの中間系 
  ○ブルース系          ○ロック系      

Miles DavisがモントルーJAZZ祭に出演した際のLIVEが20枚組CD BOXで発売されま した。
以前に1枚CDでハイライトとして出たものの、コンプリート盤で随分と期待した ものです。
1973年のエレクトリック時代の演奏、1984年から1991年までは、1987年を除いて 毎年出演してるようで、各年毎にCD2枚収録され、1984年と1985年は昼夜各2枚に収 録・・・それで20枚になってます。

これだけの分量を全部聞いてレビューを書くのは非常に困難・・・なので、ここ では要所部分のみのコメントしたいと思います。ご了承ください。

まず、1973年。デイブ・リーブマン達が参加した、長く混沌としたサウンドが特 徴な時代です。
比較するならマイルス旧作「ダークメイガス」同様なサウンドです。ただし、音 のバランスが悪く、ベースがかなり引っ込んでいます。なのでこのバンドの躍動がな かなか伝わらず、これまで発売されなかった理由なのだろうと推測できます。それさ え除けば、珍しいリーブマン入りMilesの音だけに貴重だと思います。

それから1984年以後は結構Bootlegとして既に出回ってる音源もあります。自分も 2種だぶっていたので、今回比較してみました。
 1986年のデビッド・サンボーン、ジョージ・デュークがゲスト参加したファン なら気になるLIVEですね。これのBootは音質も良い方なのでどうかと思ったのですが 、やはり低音や音の迫力で今回のオフィシャルに当然ですが完全に軍配があがります 。なにか曇りガラスが透き通ってくっきりしたような、聞いていて気持ちもすっきり しました。この年はロベン・フォードが参加し、こんな小気味良いカッティングが聞 けるMilesバンドはこの時だっただけに、この音質は嬉しい限りです。
 1989年のケイ赤城やリック・マーギッツァが参加したLIVE。これのBootが結構 高音質で、低音もしっかりしてるのでなかなか遜色ないなとは思いました。しかし、 さすがにオフィシャルは楽器のバランスやステレオ定位などで良く作り込んでいるな と感心しました。その反面楽器の分離がしっかりした装置で聞くと気持ちよいでしょ うが、下手なラジカセで聞くとBootの方がよく聞こえてしまうかもしれないなぁ・・ ・と思ってしまいました。

あと1991年のクインシー・ジョーンズと共演したビッグバンドは、これは正式盤 として「Miles&Quincy Live At Montreux」で出ています。これも比較してみたのですが、アナウンスを1曲 として数えるかどうかの違いはあるのですが、音質では全然わかりませんでした。ボ リュームのレベルが今回の方が高く設定されてるのですが、同じ音量で聞くと違いが 全然・・・当然ですかね。(笑)
ただ、これは既に正式盤で出ているわけだし、Boxに取り込まれると2度買いさ せられた気分で、これを削って少しでも安くしてくれれば・・・・と思うのですが。
 

膨大な時間のliveですが、聞き込めば聞き込むほど更にわかることもあるのでし ょう。
それとメンバーの違いによるサウンド変化も面白いですし、ここで初めて聞ける 新曲など興味深い部分もかなりあると思います。例えば最晩年の数年はレパートリー も同じになりますが、そのわずかな差に違いを見いだす楽しみがあるというか・・・ 。(笑)

問題は値段が・・・でしょうね。やはり、それだけのMilesファン向けということ になりそうです。

# ブックレットなども豪華でキレイです。(TKO)

新宿Virgin \33,000(税抜き)
 
 



20枚組という巨大ボックスセットなので聞くだけで大変です。1日1枚約3週間で制覇しました。

Disc 1-2 : D.Liebman(sax), R.Lucas(g), T.Cosey(g), M.Henderson(b), A.Foster(dr), Mtume(perc)
73年の初出演です。以前はこの頃のマイルスの音は混沌としすぎていて、理解できなかったのですが、最近非常にこの頃の音を気持ちよくきけるようになってきました。このライブもご機嫌です。 ただ驚いたのはDisc1のエンディングに観客の大ブーイングが聞こえます。30年早すぎた天才だったということなのでしょう。

Disc 3-6 : B.Berg(sax), R.Irving III(kb), J.Scofield(g), D.Jones(b), A.Foster(dr), S.Thornton(perc)
約10年のインターバルを置いて84年のライブです。個人的にはこの頃のマイルスバンドの音が80年代マイルスの音のイメージで、かなりヘヴィーな音です。

Disc 7-10 : B.Berg(sax), R.Irving III(kb), J.Scofield(g), D.Jones(b), V.Wilburn Jr.(dr), S.Thornton(perc)
85年は84年とドラマーがアル・フォスターからヴィンセント・ウィルバーンに交替しただけで、あとは同じメンバーなのですが、ドラマー一人でこんなに音がかわるのかと驚くほど軽快なノリになっています。 ギターのジョンスコもかなりロック色の強い演奏になってきています。

Disc 11-12 : B.Berg(sax), R.Irving III(kb), A.Holzman(kb), R.Ford(g), F.Crews(b), V.Wilburn Jr.(dr), S.Thornton(perc), guest: G.Duke, D.Sanborn
86年バンドはギターがジョンスコからロベン・フォードにかわりカッティングのバッキングをして、ソロはブルースしている上にゲストとしてジョージ・デューク、デビット・サンボーンが加わりかなりフュージョンによったサウンドです。これがマイルス?と思うような明るい雰囲気があります。86年のライブはなかなか楽しいです。

Disc 13-14 : K.Garrett(sax), R.Irving III(kb), A.Holzman(kb),Foley(b), B.Rietveld(b), Ricky Wellman(dr), M.Mazur(perc)
88年リズムセクションが86年から総入れ替えになって、よりファンク、R&B色が前面にでてきています。曲によっては今にもジェームス・ブラウンが歌いだしそうなファンキーなのもあります。

Disc 15-16 : R.Margitza(sax), Kei Akagi(kb), A.Holzman(kb),Foley(b), B.Rietveld(b), Ricky Wellman(dr), M.Jackson(perc)
よりポップにダンサブルになってきています。ゲストでチャカ・カーンが「Human Nature」を歌っています。過去Jazz Doorからブート盤として出ていたライブですが、「The Senate;Me & U」(11:47)が新たに加わっています。

Disc 17-18 : K.Garrett(sax), Kei Akagi(kb), Foley(lead b), Richard Patterson(b), Ricky Wellman(drums), Erin Davis(perc)
ベースがパターソンになってスラップを多用しているためか、ポップでファンク路線の延長ながら、フュージョンっぽい色もでています。またフォーリーのリード・ベース(というか聞いているとギターそのものの音がしています)の存在感がリズム・カッティングや、ロック系のソロでより大きくなっています。キーボードは赤城ケイ一人だけになっていますが、随所に入るシンセ音が軽い音色なのが印象的です。また1曲だけ(「In The Night」)ですが、短いコーラスが入っている曲があります。またマイルス版スムースジャズみたいな曲もあります。

Disc 19 : 91年クインシー・ジョーンズのプロデュースの元、ギル・エヴァンス・オーケストラとの共演の再演。既発の正規盤と同じ内容。 これだけモントルーのライブではなく、91年のDisc 19の9日後のニースでのライブ。ギル・エヴァンス亡き後のギル・エヴァンス・オーケストラとジョージ・グランツ・コンサート・ジャズ・バンドなる2つのオーケストラが参加して整然としたアレンジで昔の曲が演奏されます。ちょっとこの1枚だけボックスセットの中で異質です。メンバー多すぎで転記する気になりません。

Disc 20:K.Garrett(sax), D.Johnson(kb), Foley(lead b), Richard Patterson(b), Ricky Wellman(drums)
91年Disc19のモントルーの演奏の9日後の演奏です。この盤だけモントルーではなくフランスのニースでのライブです。バンドが熱いです。なんかテンポも速めだし、ケニー・ギャレットが狂ったように吹きまくっています。そしてこの2ヶ月後にマイルスはこの世からいなくなります。

この手のハコ物って出るとついつい買ってしまうのですが、そのわりには通して聞くのって結構つらいのですが、今回の20枚組は楽しんできけます。理由は2枚単位くらいでライブのステージとして完結しているということと、曲目は同じようなのが並んでいるのですが、1年たつだけで、バンドのカラーがかなり変化しているのが、わかるというのがおもしろいです。80年代マイルスはリアルタイムで聞いていたつもりだったのですが、こうして通して一気に聞いていくと当時は気が付かなかったようなところが見えてきます。 (橋 雅人)

   
Slow           Speedy
Light         Heavy
Mellow     Hard
Lyrical       Cool
Melodious       Out of melody/code
Conservative       Progresseve/Tricky
Ensemble         Interplay