Michel Camilo Cyber Interview

サイバーフュージョンの独占インタビュー第2弾はラテン・フレイバー溢れる 超高速プレイで知られるピアニストのミシェル・カミロです。 今回も前回同様、電子メールによるインタビューでミシェルの奥さんの サンドラの協力により実現したものです。 また今回はカミロ自らが作ったMIDIファイルの特別提供を受けています。 これは彼のアルバム「オン・ファイアー」のタイトル曲をベースにピアノ2台の 連弾用にアレンジされたもので、カミロがMIDIでオーバーダブしています。
ではミシェル・カミロ・サイバー・インタビューをお楽しみ下さい。

橋 雅人

One More OnceSuntan

リアルオーディオ
RealAudio及びMIDIファイルの聞き方はCyberFusionの楽しみ方"をご覧ください。
On Fire copyright by Michel Camilo/Redondo Music-BMI/SGAE

HASHI
ではサイバー・インタビューを始めましょう。まずは先日行かれたレッド・シー(紅海)・ジャズ・フェスティバルについて話してもらえますか?
Camilo
レッド・シー・ジャズ・フェスティバルには今回で2回目の参加だったのだけど 4日間にわたって行われてメイン会場はイスラエルだったんだ。今年は10周年 記念で今まで出演した人達の中から、エルビン・ジョーンズ、フィル・ウッズ、ブレッカー・ブラザーズ、スパイロ・ジャイラ、ディディア・ロックウッド、ディー・ディー・ブリッジウォーター、それに僕などたくさんの人達が出演したんだ。 僕はベースのリンカーン・ゴーインズとドラムのホラシオ・エルネグロ・ヘルナンデス と一緒に演奏したんだ。コカコーラ・ホールというところでコンサートを2回したん だけれど、これはすばらしかった。聴衆は5ー6回もスタンディング・オベーションを してくれたし、彼らの前で演奏するのはとても楽しかったよ。 2晩目のコンサートはFMで生中継されたし、イスラエルのTV局も録画していたんだ。それにコンサートの次の日は紅海でイルカの隣で泳ぐというすごく特別な体験も できたんだ!

HASHI
最新作のワン・モア・ワンスでは初めてビッグ・バンドと演奏されていますね。 もっとラテン風のアレンジをされると思っていましたが、トラディショナルな ビッグ・バンドのアレンジで少し意外に感じましたが、この作品について 話してもらえますか?

Camilo
このプロジェクトはDanish Radio Big Band (DRBB)がモンマルトル・ジャズ・クラブで 一緒にコンサートをするのにデンマークのコペンハーゲン僕をに招待してくれたところからスタートしているんだ。彼らは僕がいつも僕のトリオをミニオーケストラだと書いている のを読んでいたので、僕はトリオ用の曲を何曲かビッグバンド用に書き直したのだけど これが大成功でその後僕らはヨーロッパやカリブ海をツアーしてまわったんだ。 ニューヨークに帰ってから僕はこの「ワン・モア・ワンス」の企画をコロンビア・レコード (SONY)のジョージ・バトラー博士に提案したら彼もとても気に入ってくれたんだ。 そこで僕は何曲かのスコアを書き直すとともに新曲も書いて僕がニューヨークで捜せる ベストのミュージシャンを集めてリハーサルに入ったんだ。 メンバーも皆チャレンジングな曲に熱意をもってくれて、CDを聞いてくれれば 彼らが僕の曲の細かな所まで楽しんでくれて、どんなに凄い演奏をしているかは すぐにわかってもらえるはずだよ。 でも僕はこのアルバムが伝統的なビッグ・バンドのものだとは思ったことがないな。 ただ僕はこのタイプの音楽を書く上での本当のテクニック、それは僕がニューヨーク でドン・セベスキーから習ったものなのだけど、トゥッティ・パッセージ、 ブラス・ヴォイシング、シャウト・コーラス、ユニゾン・ラインなどを 使いたかったんだ。そうして伝統的なテクニックと 僕の音楽を混ぜることでこのアルバムをヒップなものにしたかったんだ。 とにかくラレンフレイバーはグルーヴ、モントゥーノ、パーカッション、シンコペーションなどいたるところに聞けると思うよ。 このアルバムを録ってからニューヨークとカリブで数回コンサートをしたんだけれど そのうちの1回はライブ・フィルムを撮っていて、そのうちにビデオ化できれば いいなと思ってるんだ。 バンドの演奏は凄かったし、みんなのソロも燃えてたよ。

HASHI
あなたの音楽には母国の影響か強いラテンの血が感じられますがアメリカに 移ってくるまではどんな音楽を聞いたり演奏したりしていたのですか?

Camilo
僕がドミニカ共和国のサント・ドミンゴにいた頃は主にハードバップやフュージョン それにクラシックを演奏していた。僕は16歳の時から国立シンフォニー・オーケストラのメンバーだったんだ。だから僕のラテンの影響というのは79年にニューヨークに 移って、僕のルーツが重要なのだとわかってから出てきだしたんだ。

HASHI
いつもジャズクラブであたなのプレイを見ると、独特のスタイルと高度な テクニックに感心させられるのですが、今のプレイのスタイルというのは どうやって身につけられたのでしょうか?

Camilo
これには2つの側面があるんだ。最初は僕は9つの時からドミニカ共和国の 国立音楽院で学んだこと。それと第2にニューヨークでジュリアード音楽院 のジェイコブ・ラテイナー先生の個人レッスンで全く違うスタイルのピアノ のテクニックを学んだことだ。だからいつも僕は2種類のピアノテクニックを 持っているって言っているし、それぞれの最高だと思う方を使ってその瞬間に 僕が聞き、感じたことを最小限のエネルギーでより簡単に弾いてしまうんだ。 それにオスカー・ピーターソンのインタビューで読んだのだけど彼は 曲を12のキー全てで練習することで耳を研ぎ澄ますと同時に鍵盤のどの ポジションでも運指が簡単にできるように慣らしていたんだ。 あとしたことはジョン・コルトレーンやチャーリー・パーカーなどを採譜してそれを 両手で弾いてみるんだ。ホーン奏者のソロを使おうとすることによって指を 無理に違った動きができるようにしてしまうんだ。 もちろん、ショパン、バッハ、リスト、ラフマニノフ(訳注:ロシアの作曲家、のち、アメリカで活躍)、スクリャービン(訳注:ロシアの作曲家)もいい練習になるよ。 クリストフ・フォン・ドホナーニ(訳注:クリーヴランドのオーケストラの指揮者) が書いた本で確か「プロのピアニストの為の練習」(Exercises for the professional pianist)とかいう題名のもある。これはコンディションを保つのには最適だね。 最後に空手も助けになってるんだ。これは心身統一ということを教えてくれた。 難しすぎるとかプレイが不可能だなんて決して考えないことだね。

HASHI
僕があなたを初めてみたのは83年にニューヨークでフレンチ・トーストで プレイしていた時なのですが、その頃からずっとアンソニー・ジャクソンと デイブ・ウェックルとは一緒にしていますよね。あなたとこの2人のトリオは 今世界でも最高のピアノ・トリオだと思うのですがこの2人とはどのようにして 知り合ったですか?

Camilo
ありがとう。デイブ・ウェックルはニューヨークの他のバンドでプレイして いるのを聞いたことがあるピーター・アースキンが推薦してくれたんだよ。 アンソニー・ジャクソンはフレンチ・トーストのオリジナルメンバーだったんだ。 僕はフレンチ・トーストのパーカッショニストだったゴードン・ゴットリブに 推薦されたんだ。そこで僕らは出会いお互いに特別な化学反応みたいなものを 感じたんだ。それに毎週月曜の晩にマンハッタンのアップタウンにあった ミケールズというクラブ(訳注:スタッフの本拠地としても有名なクラブ)で 演奏したことでお互いにまるでテレバシーみたいな音楽での会話というものを 発展させることができたんだと思うな。 僕らはキングレコードのエレクトリックバードで「フレンチ・トースト」 というアルバム出した後に僕自身のセクステットを組みデイブもアンソニーも 一緒に残ってくれたんだ。そしてついに僕たちは84年にタニア・マリアの オープニングアクトでカーネギーホールでトリオとして出演してスタンディング オベーションを得たんだ。という訳でこのフォーマットで僕の1枚目の 「ホワイ・ノット」の中の何曲かやその後のサンタン(イン・トリオ)でも レコーディングしたんだ。

HASHI
あなたは既にたくさんの凄いミュージシャン達と共演しているので難しい 質問かもしれませんが、今まで一緒にプレイしたことない人で今後共演 してみたい人を挙げてください。

Camilo
それは沢山いるよ! 共演したことない人の名前をちょっと挙げるだけでも デニス・チェンバース、クリスチャン・マクビー、ルイス・ナッシュ、 グレッグ・ハッチンソン、ジェフ・ワッツ、ブライアン・ブレイド、 ブランフォード・マルサリス、マイケル・ブレッカー、エルビン・ジョーンズ、 などいくらでもいるよ。

HASHI
あなたはどんなに難しそうに聞こえる曲を演奏する時でもいつも微笑みながら ピアノを弾いていますね。あなたにとって微笑むこともできない程 難しい曲ってどんな曲ですか?

Camilo
え〜、そんなことは思いもしなかったな〜:) :) :) そうだな〜、多分ランデブーに入っている「アズ・ワン」がポリリズムが 多くて難しいかな?でもよくわからないなあ ;) ;) :) :)

HASHI
日本では女性のミシェル・カミロファンが大勢いて、ジャズクラブでの 演奏後はよく若い女性に取り囲まれてしまいますが、奥さんのサントラさんは 何て言ってますか?文句を言われたりしませんか?

Camilo
いいや、彼女は若い女性ファンについて不平を言ったりしないよ。 彼女は他の女性が僕や僕の音楽を好いてくてるのは彼女の趣味がいいから だと思ってるよ。ヒュー :)

HASHI
最後の質問ですが、今後のレコーディングやツアーの予定について教えて下さい。

Camilo
TropiJazz/RMMと新しいレコーディングの契約を結んだばかりなんだ。 これはニューヨークのMCA系列のラテンとジャズ専門のレーベルで とてもうまくいっている。たいていニューヨークのJVCジャズ・フェスティバルでトロビジャズ・イブニングというのがあっていつもソールドアウトしてるよ。 10月末にはスタジオに入って来年97年の春に出す予定の次のアルバムのレコーディングをする予定だ。 それと同じTropiJazz/RMMからこの96年秋にリリースされるパーカッションの名手 Giovanni Hidalgoの「ハンズ・イン・モーション」というプロジェクトにも参加した ところだ。このアルバムは僕としては初めてのピアノとパーカッションのデュオの コラボレーションでとても楽しいものだったよ。 サイバー・インタビューどうもありがとう。

<---ミシェル・カミロのホームページはこちら
<---インタビューの英語原文はこちら

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Last update Nov12,1996